浜田屋分舗・FC2店
このブログは武装錬金とジョジョ3・4部のドリーム系二次創作ブログです。けどオリジナル色が強いのでそっち系が駄目な方はご注意。あとどこかにR18コーナーの入口も。
紅い渦を胸にたたえて 【序】
(※これは基本的なトコは改訂加えませんでした。なんか変に書き直すとワケ分からなくなりそうで……)

 にわかにL・X・E(超常選民同盟)の中はざわめきで溢れていた。その原因は新たに加わった人間型ホムンクルスが原因である。その青年は、バタフライの血族であるという。組織の中で働いていた一人の少女は、その報せを聞いたとき、深い溜息を吐いた。
 が、それだけだった。

 少女は帰蝶と言った。一応、このL・X・Eの創始者、バタフライの娘だった。だが彼女は一切、特別扱いされていなかった。バタフライは帰蝶のことを娘とは思っていなかったし、帰蝶も親子の情は持っていなかった。

 ……まあ一応、血が繋がっていることになるのかな。でもなるべく関わりたくないなあ。それより、組織の人間がからかってくるかな……。そっちのほうが鬱陶しいや――

 そう思いつつ少女はいつもの仕事に戻っていった。
紅い渦を胸にたたえて 【第1話】
『逃走』

 薄汚れた壁に六方を囲まれた、六角形の小さな部屋。そこを他の空間と繋ぐものは、鉄格子がはめられている鉄製のドア一つのみ。その様子は、ここが罪を犯したものへの収容所だ、と容易に推測させた。そして部屋には、小さなイスに首をうなだれて座る一人の男性のみ……。

                    ★

 ――もっ、申し訳ありません……!! どうかあ……、どうか、命ばかりは……!!
 ぼろぼろに身体を裂かれていた男が、悲痛な声を張り上げていた。傷の痛みが余計に神経を逼迫させたのか、髪振り乱し半狂乱になって対象に命乞いをしていた。
 しかしその眼前に立っていた初老の男性が、男の願いをはねつけた。

 ……核鉄を奪われたとあっては、こちらとしても赦し難いよ……。とりあえずキミは、牢の中で今後の処遇を待ちたまえ……。

 ――……おねがいです、お許しを、お許しをォオ!!

 その言葉を聞くと男はよりいっそう上擦った声を上げ、身体を震えさせて暴れ出した。 それを側で見ていた、三日月の輪郭をもつ奇妙な人物が、その見苦しさに耐えかねたのか男に仕置きをするようだった。
 かと思ったら、男の背中をストン、と音のしない手刀で打っていた。すると男はぐにゃりと力無く倒れた。その後、男は気を失ったままずるずると引きずられて、部屋の外へと運び出されていった……。
                    ★

 ――喰われる、喰われる、喰われる!!!

 牢の中で男は憔悴しきっていた。命令を果たせなかっただけでなく、貴重な核鉄まで奪われてしまったのだ。
 男は当初は、組織から逃げてしまおうと思っていた。敗北者でありなおかつ過重な失策を犯してしまったのである……、組織に戻ったところで生き延びられようはずはあるまい。
 だが、逃走の途中で体力が尽きた。
 そうして昏倒しているところを組織に回収されてしまった。組織は自分がまだ核鉄を持っていると思っていたし。回収されたあと、自分の往く道は死のみであろうと、容易に推測できた。

 ――嫌だ、死にたくない……、俺は逃げる……、逃げて逃げて、逃げ切ってやるんだ!!!

 死への恐怖、というより、激しい生への執着が身体の奥底から噴出してきて止まらなかった。

 ――かくがね……。かくがねがあれば……、かくがねをてにいれられれば……。

 やがて男はうつろな瞳にまるで蝋燭の炎のような光をともらせ、あやしい狂気をはなちはじめた。そう、核鉄を喪失した故に与えられた死の運命故か、男は核鉄があれば自分は生きられる、という盲信にとりつかれてしまっていたのである。
 だが閉じこめられたこの空間でどうする? 大体どこで手に入れる?

 ……そういえば。

 ふっ、と男の脳裏に昔聞いた噂話がよぎった。
 確か使用人のような事をしているやつ中に、核鉄を持つものがいる、という噂を聞いたことがある。

 ……そいつは、若い女。……たしか、帰蝶、とか言ったような。

 この際、どうして持っているかなんて関係ない。
 兎に角、それを奪えばいい!!
 それを使って……、逃げて逃げて、生き抜いてやる!!!

 暫く時間が流れて。そして、ぎいいい、とちょうつがいのこすれる音がし、小さな鉄の扉が開き、この密閉された空間にひとつの穴をつくった。

「……おい、出ろ、……んっ、ぐはっ!!」

 別のホムンクルスがその男を処分のため連れだそうと牢獄内に入ってきだが、追いつめられた獣の力というのは恐ろしい。一体疲弊しきっていた体のどこにそんなエネルギーがあったのか。まるでその体を一箇の弾丸と変え、一瞬のスキをついたかと思うと相手のホムンクルスをはじき飛ばし、そこから逃げ出すのであった。

 ――何処だァ……!、そいつは何処だァァ……。

 虚空を裂き、虚ろを求めてその男は走り去っていった。

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紅い渦を胸にたたえて 【第2話】
『ふたつの蝶』

 「……ちょっと、そこの?」

 帰蝶は声をかけられたことに気づき、振り向いた。―帰蝶はどうにも雑用係、という立場故、殆どの人間からは名前で呼ばれない。使用人、とか、女、とか、そんな感じで呼ばれる。
 振り向くと、信奉者である戦闘員の女性がそこに、のっしりと立っていた。信奉者が力関係で威張れるのはヒエラルキー最下層にいる帰蝶のみであるから、故に妙に威張って接する者が偶にいるのである。端からみるとこれほど滑稽なものは無いのだが。

「新しくホムンクルスが入ってきたでしょ? 何を特別扱いしてんのか知らないけど、ちょっと世話をしとけとか言われたのよ。でもね、アタシも色々忙しくって……。アンタがやっといて。」

 と、帰蝶に言い放った。
……バタフライが新しくホムンクルスを保護して、それはバタフライの血族だという話は組織をまたたくまに駆け抜けていたのは帰蝶も知るところ。そして今のこれは、バタフライの直系であるパピヨンに、これまた直系ではあるが、認知されていないアワレな使用人を対峙させたら面白そうだ……! という誠に下卑た感情に基づいて実行されたと思われる。帰蝶もさすがに胸が悪くなった。だが。

「分かりました。」

 ……この程度で腹を立てていてはキリがない。帰蝶は平然とした顔で、率直に返事を返した。

―あまり関わりたくは無かったんだけど。
 帰蝶は口の中で小さく呟くのだった。

★ 

「失礼いたします……、入っても宜しいでしょうか?」

 帰蝶はパピヨンの部屋に取り付けられている、真鍮製のドアノッカーを叩いて、入室の是非を問うた。

「……別にかまわん、入ってこい。」

 するとけ怠そうな、そして男性にしては少々高い声がドア越しに響いた。
 帰蝶はその声に従い、ドアを開けた。すると部屋の中に軽くほこりがまった。しばらく使っていなかった部屋故だ。急場でしつらえたものよろしく、家具は簡素なベッドとイス・テーブル位しか置かれていなかった。
 帰蝶が扉を閉めて。顔を上げるとそこにはベッドの上で半裸の状態で布にくるまり、大量の古書を読み耽っていた青年の顔が視界に入る。……一瞬はっとする。さすがに直系の血族らしく、バタフライに面持ちが似ていた。
 ――でも自分とは……、あまりに似ていないかな、と帰蝶は思った。自分は母に似たようだし……、と思考をめぐらせていた。
 やがて自分を見つめる瞳に気付く。そう、その瞳はバタフライ以上に鋭く、切れ長で尚且つ黒く淀んだものを持っていた。

「何をボンヤリしている。用事があって入ってきたのだろう。愚図は好かん。さっさとしろ。」

 パピヨンの顔に気を取られて動きが止まっていたが、叱咤の声が飛んできて、ふと意識が戻った。

「……あっ、申し訳ありません。朝食をお持ちしました。それと、ご所望された衣服がこのワゴンのな
かにあります。どうぞお召しください。」

 ころころとワゴンをひっぱる。そしてフランス料理のそれよろしく、食事には円形のクロッシュがかけられていたので、食べさせようとそれを取る。そこにあったのはまだ朝だというのに肉汁したたるステーキ。もわ、と肉の匂いが鼻につき、少々胸焼けがする。だがパピヨンは手負いの状態で組織に回収され、修復フラスコによりようやくここまで回復したという。とりあえず後は食事により回復させる故、こういう食事を用意したのだろう。

「それでは、後で片付けに参ります。何か他に用意するものはありますか? その時に運んで来ますが……。」

 するとパピヨンが視線をこちらに向け、口を開いた。

「……それよりちょっと聞くがな……、武器を携帯しているのはお前だけだな。何故だ?」

 帰蝶はそれを聞きふと、自らが腰に下げているレイピアに目をやる。

「ああ……、それは……。」

 帰蝶がパピヨンに言葉を紡ごうとした瞬間。ドアは勢いよく開かれ、壁をうちつけた音は部屋中に鳴り響いた。

「ここに……、ココにいたかぁっ……! 核鉄を、よこせえーッツ……!!」

 そしてドアの中から現れた男は煌々(こうこう)と夜目の虎のように不気味に瞳を輝かせ、勢いよく帰蝶めがけて飛びかかってきた。

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紅い渦を胸にたたえて 【第3話】
『規格外』

「核鉄をよこせえっ……!!!」

 がつん、と、大きな音がしたかと思うとそこにあったイスがたったいま飛びかかってきたホムンクルスにぶちあてられていた。帰蝶が襲ってきたホムンクルスに投げつけていたのである。
 しかし男はひるまなかった。もはや狂気に取り憑かれ、痛みも忘れ、ただ求めるのは核鉄のみ。

 だが。
 次の瞬間、ざしゅ、と鈍い音がした。
 男の身体が帰蝶のレイピアでハラから背まで深々と貫かれた。
 すると男は、今までの凶行がウソだったかのようにその場に静止していた。いや、正しくは与えられた激痛にたえかね、小刻みにびく、びくと体が震え、暴発寸前の様相を見せていた。

「ハッ!!」

 次の瞬間、帰蝶は胆(はら)に力を込め一気にレイピアを引き抜いた―かと思うと、その脈打っている体をがつ、と蹴倒し床にころがした。すると床に転がったホムンクルスはますます痙攣を強くし倒れた。だがそれに一顧の慈悲もなく、帰蝶はころげたその対象の章印にレイピアを突き刺し、断罪者となったのである。
 やがて見る間もなく、男の身体は突かれた部位から放射状に、ぼろぼろ……、と崩れていった。
 そして、男の身体、すべては芥(あくた)と化した。
 その男の形が無くなるのを確認すると、帰蝶は静かな声で腰の鞘にレイピアをおさめた。だが、帰蝶はベッドで寝そべりながらも、鋭い目線を注いでいるパピヨンのそれに気がついた。

「……ホムンクルスは、錬金術の力以外……、受け付けはしない。そうだったな? 」

「仰るとおりです。」

 帰蝶は目を伏せ、答えた。

「武装こそしなかったもの、オマエは核鉄を持っていると見るしかないな、この状況だと。……ふん、そ
うだな……、どこか可視できないところ……、そうだな体内あたりが適当か? に、移植されていてレイピアに武装錬金の力が宿っている、と考えてみたが……、どうだ?」

「……大方、合ってます。……それでは。」

 そうパピヨンに一瞥(いちべつ)すると、帰蝶は部屋を出ようとした。

 が。
 半裸の青年はかつかつと歩いてきて、帰蝶の腕をぎり、とひねりあげる。

「ヒトの部屋を荒らしておいて、とっとと帰るつもりじゃ無いだろうな。それなりの詫びをしてもらいたいものだが。」

「かわりに……、わたしの核鉄の情報を教えろと……、でも?」
「物分かりがいいな。そう言うことだ。」

「言っておきますが……、この核鉄のコトを教えたとしても、貴方様はこの核鉄をどうこうすることはできません。これは、わたしのみが動かせる、わたし専用の核鉄ですので。」

 それを聞くとパピヨンはさすがに口をひねり、いぶかしむ表情を作った。

「……核鉄というのは、闘争本能がないものこそ作動はしないが、それさえあれば万人が動作せしめるものと聞いたがな。」



 ――帰蝶はぽつり、ぽつりと自分の核鉄についてパピヨンに話していた。

「この核鉄の本当の役割は、私のエーテル構成や……、霊気伝導率などを調べるために付けられたものなのです。……もうご存じでしょうか、わたしはハーフ・ホムンクルスですからそれをバタフライが悦び、実験動物としているので。
 ようするに、核鉄は計測器としてデータを常に転送する器機として動かさなくてはいけないため、従来の核鉄のようにその全てをエーテル化するわけにはいかないのです。その為この核鉄は……、血と肉とで結びつけられており……、要するに外科手術で……、私の中に収まっています。そして外科手術の際、私固有のエーテル構成情報を登録しましたので、他の方は使用できなくなっているのです。
 ……レイピアを携帯している理由はもうお分かりとは思いますが、武装錬金のエーテル化が不完全で全てを物質化出来ないため、代わりに霊的に武器へエンチャントを行い、戦力強化を図っております。」

「そういうことか。ふん……小間使いに核鉄は過ぎた道具だから、俺がその胸かっさばいて奪ってやろうと思ったんだがな。」

 パピヨンは、どこまでが冗談で、どこまでが本気とつかないような笑みをこぼしつつ、そう言い放った。

「ひとまず退出いたします……。部屋の掃除はあらためて行いにまいります。では、失礼致します」

 ひややかなその笑いを背に受けつつ、帰蝶は部屋を出て行った。

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紅い渦を胸にたたえて 【第4話】
『処世術』

「ん……。」

 薄暗い中ぼんやりと、帰蝶の目が開かれた。汗を吸った布団が身体にまとわりつく。地平線の境目がようやく赤くなった時刻。まだ夜は明けきってないと言えた。帰蝶の身体には、昨晩のパピヨンの体温と汗がうっすらと残っていた。
 あのあとパピヨンの部屋へ、代わりのイスを用意するのと、掃除するのとで部屋へ再び入るとパピヨンは待ちかまえたようにその帰蝶の体を我がモノとした。立場上拒める筈もなく、されるがままに身体を預けた。
 もっとも、パピヨンが帰蝶を求めたのは、旨そうな宍(にく)があったから手を出した。それだけだが。

 ――こんなのいつものこと。

 帰蝶は生まれてから自我と肉体が育ちきるまでの期間をずっと、冷たいガラスの中……、フラスコの中だった。(認められてはいなかったが)親であるバタフライはあたたかい言葉なんてかけてくれなかったし、あからさまな研究動物扱いだったし。
 だから温もりなんて、この世には存在しない。
 生まれてからずっと、最初からあきらめていた。
 感情を表して争い事になるなんて面倒だったし、そういったものは心の奥底にしまいこむ。それが一番の処世術。
 だから今日も、いつものように、能面の如し表情をたたえて横に休んでいた。

 ……そして時刻は午前4時30分。春の薄い夜明けが見えるか、見えないかの時刻だ。だが目が覚めきってしまった。帰蝶はとりあえず衣服を身につけてから厨房に行って、コーヒーでも入れてこようと思った。しかし悲しいかな、使用人としてこきつかわれているクセか、床に脱ぎ散らかされたパピヨンの服をたたんで、枕元にまとめようとしたのだが、その服を手にとったとき中からするり、と六角形の金属片が落ちてきた。……それは果たして核鉄であった。

「くはっ!!」

 瞬間、背後から羽交い締めにされ、そして何者かのとがった爪が喉を今にも切り裂こうと、煌々(こうこう)と光っていた。

「……見たか? だったら喉に、この爪を、埋め込ませてもらうが……。」

 その言葉と共につ……、と帰蝶の首に爪が食い込み、ひとすじの赤い血が流れ出た。その手を持っ

ていたのはパピヨンだった。だが帰蝶は顔色変えることなく一定のトーンで小さく答えるのだった。

「……そのようなコトはしませんよ。面倒くさいだけですもの。」

「ふうん……?」

 その場逃れの方便なのかとパピヨンは一瞬いぶかしんだが、どうもそうではないらしい。それよりは気力が感ぜられない……、全てを諦めている声。だからパピヨンは、それがカンに触った。

「でも、どちらかといったらバタフライが居なくなってくれたら、それはそれで嬉しいですけどね。」

 光の宿らない眼で、帰蝶は自嘲気味に笑いをうかべた。すると今にも喉を切り裂こうとしていたパピヨンの手はすっ、と下ろされた。

「……よろしいので?」

「殺す気がうせた。貴様のような無気力な人間は一番嫌いだ。殺す価値もない……。カオも見たくないからとっとと失せろ。」

「……では、失礼いたします。」

 そして帰蝶はマネキンのように、表情ひとつ変えずにその場から立ち去っていった。

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