…………ひとつのおおきく、渦巻く闇は砕け散った。
しかしすべてが雲散霧消してしまうのではなく、再びそれらは点となりヒソカに闇で呼吸をする存在となった。
そう。それはそんなとき、人間社会の裏側で起こっていた、影の出来事。
★★★
カズキ達の逃避行が始まって8日……。一週間とすこしが経過していた。パピヨン達は桜花の戦団システムへのハッキングによってもたらされる情報をバックアップとし、進んでいた。
そうして処は東京都の奥多摩……、山林地帯へと歩み進んでいたのだが、カズキ達が再殺部隊の者と遭遇し、斗貴子がミニマム化されるというダメージを受けたのである。だが運良く、というかなんというか、パピヨンに人形サイズの斗貴子が拾われることとなった。……パピヨン側としても、斗貴子を保護してカズキ達への情報経路を確実なものとすることはやぶさかではないし、ということで、斗貴子を柱にパピヨンとカズキは連絡を通す形となったのである。
とまあ、こんな風にパピヨン一行はコマを進めていた。
さて、斗貴子をパーティに加えて一日目の夜である。
そろそろ日も暮れ、宿をとろうといった処だったが……、現在地点は、街と街の境目という、まわりに民家すらないエリア……という、宿を探すにはいささか不便な場所だった。……一応、存在することは存在していたのでその宿に入ったのだが……、その宿というのは、こういう立地条件によくあるホテル……、言ってしまえば、『ラブホテル』という種のホテルであった。
おまけにそのホテル一室にパピヨンと帰蝶だけならまだしも、ゴゼンや、人形サイズの斗貴子までもがヒトツの空間に詰め込まれていたりした。
なお、パピヨン曰く、
「風呂が狭いのはどうにもガマンならん。大体近隣にマシなホテルもないようだしな。同じカネを払うのならいっそ連れ込み旅館にでも泊まって、ジャグジー付きの広い風呂にでも浸かってたほうよっぽどいい」
ということで選んだそうなのだ。実際、風呂の設備には随分とご満悦だったようで、ラブホテルならではの広い風呂でくつろいだ後は、一言半句の文句もクチからは出なかったのだった。
「パピヨン様、お風呂、いただきました」
パピヨンの後はすぐに帰蝶が風呂を使った。湯気を身体に纏わせて帰蝶がバスルームから歩いてくる。まあ、この手のホテルにありがちなのだが、風呂は総硝子張りだったりして丸見えだったりするのだが、一応スイッチを入れると見えなくなるシカケも付いていたしと。さすがに帰蝶自身、いくらパピヨンのメイドだから……、といっても風呂まで丸見えノンプライバシーはたまらないらしい。
さて。風呂から上がっておやすみなさい……、と言うわけではなく、やはりそこはそれ。場所が場所ということもあるし。
パピヨンは帰蝶をぐい、とうしろから羽交い締めにする。続けて二人でベッドの上にもつれ、寝転がる。寝ころびながらパピヨンは、帰蝶の背筋から首筋に歯を立て、軽い刺激……快感を帰蝶に与えゆく。
あっ……、という短い言葉が嘆息とともにこぼれる。帰蝶の身体が反応してつん、と乳首が立った。同時にパピヨンは帰蝶のバスローブをゆるゆると、愉しむように身体の線にそって脱がせていく。ずいぶんと手慣れているようで戸惑うこともなく、帰蝶の白い肌はあっというまにホテルの黄味がかった電灯の下にさらされることとなった。いっぽう、相手の帰蝶の様子だが、暫く続いたパピヨンとの二人きりの時間で、それが当たり前になったのだろう。抵抗することもなく潤んだ目でパピヨンに体を捧げる。
やがてちゅくちゅくと、唇で肌を吸う水っぽい音がし始めた思うと、熱の籠もった悲鳴が辺りに響くようになっていった。
★★★
…………………。
だが、この場に居る他の二人が蚊帳の外だろうということは、容易に想像できるのだが。
「……どーした、ツムリン。カオ赤いぞ?」
「…………ゴゼン! お……、お前まさかいままでずっと……、こういう場面でも一緒にいたのか?!」
斗貴子はゴゼンに指摘されたとおり、それはまるでタタラ場の炉のように顔を真っ赤にしてゴゼンに問い返す。だがゴゼンはあっけらかんと答えを返した。
「ん〜、まあそういうコトだけど。だってホテルって他に行き場所ないしさぁ。特にここみたいなラブホテルなんつったら他はみーんなこーゆう事やってるワケだし。それにアイツに止めてくれとか、よもや別室用意しろなんて言っても聞きやしないだろ?」
「……それは、そうだな……」
そう沈む斗貴子の姿は、今にも肩が外れてしまうのではないのだろうかというくらいがっくりと落ちていた。反面、ゴゼンは我関せず、といった感じで昼間に買ったクリームパンをクチいっぱいに、ほおばるのだった。
しかしすべてが雲散霧消してしまうのではなく、再びそれらは点となりヒソカに闇で呼吸をする存在となった。
そう。それはそんなとき、人間社会の裏側で起こっていた、影の出来事。
★★★
カズキ達の逃避行が始まって8日……。一週間とすこしが経過していた。パピヨン達は桜花の戦団システムへのハッキングによってもたらされる情報をバックアップとし、進んでいた。
そうして処は東京都の奥多摩……、山林地帯へと歩み進んでいたのだが、カズキ達が再殺部隊の者と遭遇し、斗貴子がミニマム化されるというダメージを受けたのである。だが運良く、というかなんというか、パピヨンに人形サイズの斗貴子が拾われることとなった。……パピヨン側としても、斗貴子を保護してカズキ達への情報経路を確実なものとすることはやぶさかではないし、ということで、斗貴子を柱にパピヨンとカズキは連絡を通す形となったのである。
とまあ、こんな風にパピヨン一行はコマを進めていた。
さて、斗貴子をパーティに加えて一日目の夜である。
そろそろ日も暮れ、宿をとろうといった処だったが……、現在地点は、街と街の境目という、まわりに民家すらないエリア……という、宿を探すにはいささか不便な場所だった。……一応、存在することは存在していたのでその宿に入ったのだが……、その宿というのは、こういう立地条件によくあるホテル……、言ってしまえば、『ラブホテル』という種のホテルであった。
おまけにそのホテル一室にパピヨンと帰蝶だけならまだしも、ゴゼンや、人形サイズの斗貴子までもがヒトツの空間に詰め込まれていたりした。
なお、パピヨン曰く、
「風呂が狭いのはどうにもガマンならん。大体近隣にマシなホテルもないようだしな。同じカネを払うのならいっそ連れ込み旅館にでも泊まって、ジャグジー付きの広い風呂にでも浸かってたほうよっぽどいい」
ということで選んだそうなのだ。実際、風呂の設備には随分とご満悦だったようで、ラブホテルならではの広い風呂でくつろいだ後は、一言半句の文句もクチからは出なかったのだった。
「パピヨン様、お風呂、いただきました」
パピヨンの後はすぐに帰蝶が風呂を使った。湯気を身体に纏わせて帰蝶がバスルームから歩いてくる。まあ、この手のホテルにありがちなのだが、風呂は総硝子張りだったりして丸見えだったりするのだが、一応スイッチを入れると見えなくなるシカケも付いていたしと。さすがに帰蝶自身、いくらパピヨンのメイドだから……、といっても風呂まで丸見えノンプライバシーはたまらないらしい。
さて。風呂から上がっておやすみなさい……、と言うわけではなく、やはりそこはそれ。場所が場所ということもあるし。
パピヨンは帰蝶をぐい、とうしろから羽交い締めにする。続けて二人でベッドの上にもつれ、寝転がる。寝ころびながらパピヨンは、帰蝶の背筋から首筋に歯を立て、軽い刺激……快感を帰蝶に与えゆく。
あっ……、という短い言葉が嘆息とともにこぼれる。帰蝶の身体が反応してつん、と乳首が立った。同時にパピヨンは帰蝶のバスローブをゆるゆると、愉しむように身体の線にそって脱がせていく。ずいぶんと手慣れているようで戸惑うこともなく、帰蝶の白い肌はあっというまにホテルの黄味がかった電灯の下にさらされることとなった。いっぽう、相手の帰蝶の様子だが、暫く続いたパピヨンとの二人きりの時間で、それが当たり前になったのだろう。抵抗することもなく潤んだ目でパピヨンに体を捧げる。
やがてちゅくちゅくと、唇で肌を吸う水っぽい音がし始めた思うと、熱の籠もった悲鳴が辺りに響くようになっていった。
★★★
…………………。
だが、この場に居る他の二人が蚊帳の外だろうということは、容易に想像できるのだが。
「……どーした、ツムリン。カオ赤いぞ?」
「…………ゴゼン! お……、お前まさかいままでずっと……、こういう場面でも一緒にいたのか?!」
斗貴子はゴゼンに指摘されたとおり、それはまるでタタラ場の炉のように顔を真っ赤にしてゴゼンに問い返す。だがゴゼンはあっけらかんと答えを返した。
「ん〜、まあそういうコトだけど。だってホテルって他に行き場所ないしさぁ。特にここみたいなラブホテルなんつったら他はみーんなこーゆう事やってるワケだし。それにアイツに止めてくれとか、よもや別室用意しろなんて言っても聞きやしないだろ?」
「……それは、そうだな……」
そう沈む斗貴子の姿は、今にも肩が外れてしまうのではないのだろうかというくらいがっくりと落ちていた。反面、ゴゼンは我関せず、といった感じで昼間に買ったクリームパンをクチいっぱいに、ほおばるのだった。
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
チェックアウトは10時だった。
さすがに山の中の無人施設よろしく、食事を出す施設なんてついているわけがない。ということで街に下りて食事としたため遅めの出発である。
余談ではあるが。
斗貴子は昨日のパピヨンと帰蝶のベッドシーンをはたでまじまじと見せつけられてけられてしまった為、どうにも眠ることができず、目の下にはまっくろいクマを作っていたのだった……合掌。
★
街から外れてる地域を通っていたとはいえ、多少歩けば国道方面に出る。それゆえドライブイン程度の施設ならば歩いていけばそのうちぶちあたる。選り好みしなければすぐに空腹をおぎなえることが出来るはずだった。
……選り好みしなければ。
だが得てしてこういう場所に建っている店というのは、味に期待をしてはいけないというのが定石ということなのだ。そこはパピヨンのツルの一声で、もう少し先の味のマシな店に入るということになったのである。……まあ、ホムンクルスの身体能力をもってしてなら、徒歩でも大きな街まですぐなのではあるが。ちなみに用意周到というか、いつのまに本屋から購入したのか小脇にはこの辺の食い処マップなるものがかかえられていた。
★
ざざざ、と林の脇をかき分けパピヨンと帰蝶は走狗する。肩にマスコット宜しくゴゼンと斗貴子を乗せて。雑木林を飛び回る蝶の鱗粉に光が反射し、点滅のように見えるのと同じように、走り去るその様相がまばたきのように見えていた。
――そうして二人、躰をひるがえし跳んでいるとゴゼンを介して桜花から通信が入った。ゴゼンの頭にあるハートの印が、三方向にぱかっと割れ桜花の声を伝える。
「……パピヨン、パピヨン、聞こえる?」
「なんだ……、桜花貴様か……、何用だ?」
パピヨンは一旦その場に足を止め、その通信の相手をした。
「――何用とはご挨拶ね……、とりあえず、昨日津村さんたちを襲ってきた連中の所在を一旦掴めたから教えてあげようと思ったんだけど。連中……、再殺部隊の本隊はひとまず八王子市の駅前でホテルを取ってるわね。でもあくまで借宿みたいで、情報収集して確実な判断がついたら、すぐに私達の目的地の近辺へ宿を移すんでしょうけどね。幸いまだなんとか、悟られてないようだけど。ちなみに武藤クン達が倒したメンバーは、今回収して輸送中みたいね。」
「フン……、まあ連中、予測通りのルートだな。……切るぞ。」
「なによ! 丁寧に教えてあげたのに……ってあ!!」
ぶつり、と無骨に桜花からの通信は切られた。
「オイ……! オマエもちっと誠意をもってだな〜?!」
だが一切合切無視、といった感じでパピヨンは取り合わなかった。
「……このやろう。」
さすがにゴゼン、桜花と感情を共有しているものよろしく、そのパピヨンの応対にぷくっと頬をふくらし、パピヨンをにらめていた。
――ひゅうっ……。
その時だった。パピヨンは、自分のの立っている地点に空間を裂いて飛びやる物質が来ることを感じ、そのバネのような筋肉をしならせ……跳躍――、木の上へと飛び上がり、かわす。
ごんっ。
飛び退いたあとそこを見ると、錆びた鉄骨が突き刺さり、ぶるぶると地面が震えるさまが確認できた。
だが攻撃はそれで止まない。2撃、3撃……、と今度は鉄槍よろしく鉄パイプの連続攻撃。攻撃の方向を見るとうっすらと人影が確認できた。
「ニアデス・ハピネス!」
パピヨンは掌から黒い蝶をゆらり、と一匹生みだし今度はパピヨン側から投射する。艶やかな黒い翼が翻ったかと思うと、ぼん! と黒煙があがる。雑木林の一部が炎で吹き飛ぶ。当然そこに居た対象もダメージを負っただろう。燃えさかる炎はだんだんと高さを低くし、その代わり煙の壁が渦巻いた。
……すると? その中からボディビルダー……、いや、まるで力自慢をするサーカスの団員よろしく盛り上がった筋肉をつけた大男が姿を現す。だがその男を見ると、不思議なことに果物ナイフで引っ掻いたような傷しか見受けられなかった。ニアデス・ハピネスの攻撃は思ったよりそれていたのだろうか。……それにしてもひっかき傷のような小さな傷しかない筈はあるまい。
鉄骨を投げつけられるようなパワー。それにあの小さな躰の傷。それから導き出される答えは一つであった。
「……貴様、ホムンクルス……」
さすがに山の中の無人施設よろしく、食事を出す施設なんてついているわけがない。ということで街に下りて食事としたため遅めの出発である。
余談ではあるが。
斗貴子は昨日のパピヨンと帰蝶のベッドシーンをはたでまじまじと見せつけられてけられてしまった為、どうにも眠ることができず、目の下にはまっくろいクマを作っていたのだった……合掌。
★
街から外れてる地域を通っていたとはいえ、多少歩けば国道方面に出る。それゆえドライブイン程度の施設ならば歩いていけばそのうちぶちあたる。選り好みしなければすぐに空腹をおぎなえることが出来るはずだった。
……選り好みしなければ。
だが得てしてこういう場所に建っている店というのは、味に期待をしてはいけないというのが定石ということなのだ。そこはパピヨンのツルの一声で、もう少し先の味のマシな店に入るということになったのである。……まあ、ホムンクルスの身体能力をもってしてなら、徒歩でも大きな街まですぐなのではあるが。ちなみに用意周到というか、いつのまに本屋から購入したのか小脇にはこの辺の食い処マップなるものがかかえられていた。
★
ざざざ、と林の脇をかき分けパピヨンと帰蝶は走狗する。肩にマスコット宜しくゴゼンと斗貴子を乗せて。雑木林を飛び回る蝶の鱗粉に光が反射し、点滅のように見えるのと同じように、走り去るその様相がまばたきのように見えていた。
――そうして二人、躰をひるがえし跳んでいるとゴゼンを介して桜花から通信が入った。ゴゼンの頭にあるハートの印が、三方向にぱかっと割れ桜花の声を伝える。
「……パピヨン、パピヨン、聞こえる?」
「なんだ……、桜花貴様か……、何用だ?」
パピヨンは一旦その場に足を止め、その通信の相手をした。
「――何用とはご挨拶ね……、とりあえず、昨日津村さんたちを襲ってきた連中の所在を一旦掴めたから教えてあげようと思ったんだけど。連中……、再殺部隊の本隊はひとまず八王子市の駅前でホテルを取ってるわね。でもあくまで借宿みたいで、情報収集して確実な判断がついたら、すぐに私達の目的地の近辺へ宿を移すんでしょうけどね。幸いまだなんとか、悟られてないようだけど。ちなみに武藤クン達が倒したメンバーは、今回収して輸送中みたいね。」
「フン……、まあ連中、予測通りのルートだな。……切るぞ。」
「なによ! 丁寧に教えてあげたのに……ってあ!!」
ぶつり、と無骨に桜花からの通信は切られた。
「オイ……! オマエもちっと誠意をもってだな〜?!」
だが一切合切無視、といった感じでパピヨンは取り合わなかった。
「……このやろう。」
さすがにゴゼン、桜花と感情を共有しているものよろしく、そのパピヨンの応対にぷくっと頬をふくらし、パピヨンをにらめていた。
――ひゅうっ……。
その時だった。パピヨンは、自分のの立っている地点に空間を裂いて飛びやる物質が来ることを感じ、そのバネのような筋肉をしならせ……跳躍――、木の上へと飛び上がり、かわす。
ごんっ。
飛び退いたあとそこを見ると、錆びた鉄骨が突き刺さり、ぶるぶると地面が震えるさまが確認できた。
だが攻撃はそれで止まない。2撃、3撃……、と今度は鉄槍よろしく鉄パイプの連続攻撃。攻撃の方向を見るとうっすらと人影が確認できた。
「ニアデス・ハピネス!」
パピヨンは掌から黒い蝶をゆらり、と一匹生みだし今度はパピヨン側から投射する。艶やかな黒い翼が翻ったかと思うと、ぼん! と黒煙があがる。雑木林の一部が炎で吹き飛ぶ。当然そこに居た対象もダメージを負っただろう。燃えさかる炎はだんだんと高さを低くし、その代わり煙の壁が渦巻いた。
……すると? その中からボディビルダー……、いや、まるで力自慢をするサーカスの団員よろしく盛り上がった筋肉をつけた大男が姿を現す。だがその男を見ると、不思議なことに果物ナイフで引っ掻いたような傷しか見受けられなかった。ニアデス・ハピネスの攻撃は思ったよりそれていたのだろうか。……それにしてもひっかき傷のような小さな傷しかない筈はあるまい。
鉄骨を投げつけられるようなパワー。それにあの小さな躰の傷。それから導き出される答えは一つであった。
「……貴様、ホムンクルス……」
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
「自然治癒……、及びそのパワー……。貴様、ホムンクルスだな?」
パピヨンが呟く。
「なんだと……! ホムンクルス?! 貴様……、」
それに続き斗貴子も荒げた声をを揚げた。――L・X・Eの残党だろうか? まったくしつこい。ただ……、戦団ではなくパピヨンのほうに目標をさだめてくるとは、こいつ――? と斗貴子が不思議に思っていると。
「L・X・Eそのものは……、保護を求めたやつらが寄り集まった組織だ。そんな組織の首魁にそこまで忠誠を誓ったヤツが居るとは思ってはない……。貴様、目的はなんだ?」
そう、パピヨンが男に問うた。
するとその男はにひ、と口をつり上げて……、いや目も、鼻も、そう、顔のパーツ全てをぐしゃぐしゃゆがませた下卑た嗤いを浮かべながら返答するのだった。
「……そうだな。いきなり攻撃したのも悪かったなァ…………。そう、俺の欲しいモノ……、核鉄さえ貰えれば、見逃してもいいかな……。もうL・X・Eもねぇから……、ヒトリで生きて行こうとしてもホムンクルスって躰は色々面倒だからなァ……。
でも核鉄があれば……、多少はやりすごしやすくなるってモンだろゥ……?
しっかし、組織瓦解直後だから暫くは田舎のほうに隠れて大人しく過ごそう、とか真面目なコトも考えてみるもんだねェ……。棚からボタモチだよ。核鉄持ったアンタが、こっちの方に出向いてきてくれるなんてさァ〜……」
その呼びかけに、パピヨンは一蹴し答える。
「イヤだ。……誰が貴様みたいな筋肉ダルマの言うことを相手にしなきゃならない?」
「…………!!!」
一触即発。ぷつっと音がして相手のこめかみにアオスジが立ち、そこから血がぶつぶつっと噴出していた。
「テメエ、ヒトが下手に出てりゃあ……! 覚悟しろ!!」
じゃりっ、と大男の足場の土が鳴ったかと思うと男はびよん、とパピヨンに向けて跳躍していた。そしてその筋骨隆々とした腕を伸ばし、パピヨンの頭蓋を握力で一気に握りつぶそうとした――が!
ばしぃん――!
そこにはまるで流星の尻尾のよう、残像が尾を引きつつ……帰蝶の持つレイピアが振り払われ、掴みかかってきた無骨な腕をはじき飛ばした。
そして帰蝶はパピヨンを背中に仁王立ちすると、筋肉質の大男にこう宣言するのだった。
「パピヨン様のお手を煩わせるまでもありません。……この私が相手になります」
パピヨンが呟く。
「なんだと……! ホムンクルス?! 貴様……、」
それに続き斗貴子も荒げた声をを揚げた。――L・X・Eの残党だろうか? まったくしつこい。ただ……、戦団ではなくパピヨンのほうに目標をさだめてくるとは、こいつ――? と斗貴子が不思議に思っていると。
「L・X・Eそのものは……、保護を求めたやつらが寄り集まった組織だ。そんな組織の首魁にそこまで忠誠を誓ったヤツが居るとは思ってはない……。貴様、目的はなんだ?」
そう、パピヨンが男に問うた。
するとその男はにひ、と口をつり上げて……、いや目も、鼻も、そう、顔のパーツ全てをぐしゃぐしゃゆがませた下卑た嗤いを浮かべながら返答するのだった。
「……そうだな。いきなり攻撃したのも悪かったなァ…………。そう、俺の欲しいモノ……、核鉄さえ貰えれば、見逃してもいいかな……。もうL・X・Eもねぇから……、ヒトリで生きて行こうとしてもホムンクルスって躰は色々面倒だからなァ……。
でも核鉄があれば……、多少はやりすごしやすくなるってモンだろゥ……?
しっかし、組織瓦解直後だから暫くは田舎のほうに隠れて大人しく過ごそう、とか真面目なコトも考えてみるもんだねェ……。棚からボタモチだよ。核鉄持ったアンタが、こっちの方に出向いてきてくれるなんてさァ〜……」
その呼びかけに、パピヨンは一蹴し答える。
「イヤだ。……誰が貴様みたいな筋肉ダルマの言うことを相手にしなきゃならない?」
「…………!!!」
一触即発。ぷつっと音がして相手のこめかみにアオスジが立ち、そこから血がぶつぶつっと噴出していた。
「テメエ、ヒトが下手に出てりゃあ……! 覚悟しろ!!」
じゃりっ、と大男の足場の土が鳴ったかと思うと男はびよん、とパピヨンに向けて跳躍していた。そしてその筋骨隆々とした腕を伸ばし、パピヨンの頭蓋を握力で一気に握りつぶそうとした――が!
ばしぃん――!
そこにはまるで流星の尻尾のよう、残像が尾を引きつつ……帰蝶の持つレイピアが振り払われ、掴みかかってきた無骨な腕をはじき飛ばした。
そして帰蝶はパピヨンを背中に仁王立ちすると、筋肉質の大男にこう宣言するのだった。
「パピヨン様のお手を煩わせるまでもありません。……この私が相手になります」
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
白磁のような細い足があらわになる。が、その足にはガーターが取り付けられており、尚且つその太股部分にはびっちりと、鉄製の短剣が装備されていた。
瞬間、帰蝶はばっ、と左太股部分のナイフに手をやるとそれを一斉に抜き払い、片手で一気に投射するのだった。
「はぁん……、こんな細いナイフ……、効果あるわきゃねえだろ……ッ!」
男はその通り、片手でナイフ全てをなぎ払ってしまった。
が。
帰蝶は左手でナイフを投げつけた後……、ほぼ同時に、右手のレイピアで再び『ライトニング・ニードル』を放った。そうだ、ナイフは僅かでも隙を作り出すため。直後レイピアでの攻撃が再び繰り出され、ナイフの攻撃によって生じた隙により、男の躰には『ライトニング・ニードル』の針が突き刺さったのである。
「つっ……、けれどこんな細い……針なんて……?」
ぶぅっ、ぶるるっ、ぶつっ……!
だが、一瞬の後針が震えだしたかと思うと、男の腕がぼろり、ところげおちた。
「がっ、ガアあァ―――――ッ!!」
光の針は男の右肩に深々と刺さってこそいたが、その細さゆえ大したダメージにはなっていない……、と斗貴子およびゴゼンは思っていた。その針はあっという間に引き抜かれて終わりだ、そう思っていた矢先……。その光の針はぶるるっ、とスゴイ勢いで振動を始めたのだ。そう、針は振動波によるエネルギーで根本から男の右腕を引きちぎり落としてしまったのである。そして肩からは血が滝のようにざばざばっ、と噴出する。
「ぐうう……ぐうううウ……、グウううう!!」
男はそのあまりの痛みのため、獣のようなうなり声を発し、躰をのたうち回らせる。反面、帰蝶は光もこぼれないような冷たい瞳で男に宣言する。
「利き腕を吹き飛ばしました。今ならラクに留めを刺してさしあげます。これ以上抵抗はしないほうが痛みはありません」
男は全身に脂汗をにじませていた。たしかに利き腕を無くしてしまったのに、相手は未だ無傷。勝算は大暴落といった感じである。……が、男は再び吼えた。
「はあ……はあ……! 舐めるなァァァっ!!!」
そう声を張り上げたかと思うと、眼前では信じられない光景が展開された。傷ついた男の右肩口がいくつもの球形にふくれあがって、伸びていったのである。さらにぼこぼこっという音がして、こぼれた球が右腕を失った部分を元のように螺旋形になぞり、形を作り直すと、連続して膨張したようにふくれあがり、でこぼこの表面を平たく形成しなおして男の腕を再生するのだった。
「げひ……げひひ……!! そうよL・X・Eが崩壊したときも……! 俺が何故生き残れたのか! ……俺は核鉄すら持たなかったが、実験体として植え付けられた……、自己再生の促進能力……!そう、この能力があったからダヨォォォ……!!」
男は空気を振るわせて、自らの存在を誇るかのように吼えた。
そしてその右腕。再生したことにより生まれ変わったばかりのその細胞は、活性してびくびく蠢き、さらにその腕を流れる血液も、どくり……、どくり、と不気味に体内を胎動しつつ駆けめぐり、その力を誇るが如しであった。
瞬間、帰蝶はばっ、と左太股部分のナイフに手をやるとそれを一斉に抜き払い、片手で一気に投射するのだった。
「はぁん……、こんな細いナイフ……、効果あるわきゃねえだろ……ッ!」
男はその通り、片手でナイフ全てをなぎ払ってしまった。
が。
帰蝶は左手でナイフを投げつけた後……、ほぼ同時に、右手のレイピアで再び『ライトニング・ニードル』を放った。そうだ、ナイフは僅かでも隙を作り出すため。直後レイピアでの攻撃が再び繰り出され、ナイフの攻撃によって生じた隙により、男の躰には『ライトニング・ニードル』の針が突き刺さったのである。
「つっ……、けれどこんな細い……針なんて……?」
ぶぅっ、ぶるるっ、ぶつっ……!
だが、一瞬の後針が震えだしたかと思うと、男の腕がぼろり、ところげおちた。
「がっ、ガアあァ―――――ッ!!」
光の針は男の右肩に深々と刺さってこそいたが、その細さゆえ大したダメージにはなっていない……、と斗貴子およびゴゼンは思っていた。その針はあっという間に引き抜かれて終わりだ、そう思っていた矢先……。その光の針はぶるるっ、とスゴイ勢いで振動を始めたのだ。そう、針は振動波によるエネルギーで根本から男の右腕を引きちぎり落としてしまったのである。そして肩からは血が滝のようにざばざばっ、と噴出する。
「ぐうう……ぐうううウ……、グウううう!!」
男はそのあまりの痛みのため、獣のようなうなり声を発し、躰をのたうち回らせる。反面、帰蝶は光もこぼれないような冷たい瞳で男に宣言する。
「利き腕を吹き飛ばしました。今ならラクに留めを刺してさしあげます。これ以上抵抗はしないほうが痛みはありません」
男は全身に脂汗をにじませていた。たしかに利き腕を無くしてしまったのに、相手は未だ無傷。勝算は大暴落といった感じである。……が、男は再び吼えた。
「はあ……はあ……! 舐めるなァァァっ!!!」
そう声を張り上げたかと思うと、眼前では信じられない光景が展開された。傷ついた男の右肩口がいくつもの球形にふくれあがって、伸びていったのである。さらにぼこぼこっという音がして、こぼれた球が右腕を失った部分を元のように螺旋形になぞり、形を作り直すと、連続して膨張したようにふくれあがり、でこぼこの表面を平たく形成しなおして男の腕を再生するのだった。
「げひ……げひひ……!! そうよL・X・Eが崩壊したときも……! 俺が何故生き残れたのか! ……俺は核鉄すら持たなかったが、実験体として植え付けられた……、自己再生の促進能力……!そう、この能力があったからダヨォォォ……!!」
男は空気を振るわせて、自らの存在を誇るかのように吼えた。
そしてその右腕。再生したことにより生まれ変わったばかりのその細胞は、活性してびくびく蠢き、さらにその腕を流れる血液も、どくり……、どくり、と不気味に体内を胎動しつつ駆けめぐり、その力を誇るが如しであった。
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
男が言ったとおり、その腕は再生をはたし、ほぼ、元の形に戻りつつあった。
「喰らいやがれェええええ……!!」
男はそして怒号とともに、再生し、より肉厚になったその腕を……、棍棒のように、力任せに、帰蝶に振りおろす。
「がはっ……!」
帰蝶は男の腕のあまりの再生の速さに一瞬判断が鈍り、飛び退くのが遅れた。
みし……っ。
痛々しい音とともに帰蝶の脇腹に打撃が入った。一瞬息ができなくなった。そして帰蝶はみっともなくも地面にころがされる。同時にその手に握っていたレイピアも遠くへはじきとばされてしまった。
「げへっ……! 所詮小間使いが……。てめえみてぇな下っ端が俺に敵うわきゃあねーんだヨ!! ……そうだ!! てめェも核鉄を持ってるんならァ……、そいつを俺に寄越せェえ!!」
男はプレッシャーをかけ迫り来る。今掴まったらさらに深刻なダメージを与えられ、勝機を逸してしまうだろう。脇腹の痛みに耐えつつ、反動をつけ男の迫り来る方向と逆方面に躰を起こし、再び帰蝶はスカートを翻してガーターのナイフを取り出した。帰蝶は今度は右足のガーターに仕込んでいたナイフを、男の頭部に向けて投げつけた。
……が、その行動はやはり男のほうもある程度予想がついていたのだろう。投げたナイフは男の屈強な筋肉のついた両腕で防御された。
「げへへ……、ザンネン! おお……、可哀想になあ!!」
男はげへらげへらと帰蝶を嘲り笑っていた。だが男は腕で頭部を被ったため、その瞬間胸の章印は無防備になった。無論その隙を帰蝶は見逃す訳もなく、章印に向かって最後のナイフが投射された。
だが男も黙ってはいない。先程も見せた躰に見合わない鋭い反射神経で躰をそらし、結局帰蝶のナイフは右胸に突き刺さっただけだった。
「アハハハハハ! やっぱり下っ端の実力なんてこんなもんかよ! 必死の攻撃でちぃちゃなナイフ一本かよ……!!」
男は勝ち誇り、大口開けて笑いだす。
………………ぶうぅん!
だが、そのあと再び鮮血がまきちる。
「…………あ?」
ぶしゅっ、と赤い噴水がまきおこった。
男の胸のナイフの傷口から、血が噴出したのだ。
「……ナンで? こんなちっちぇえナイフで……。」
男は混乱した。長さ15センチほどの小さなナイフが刺さっただけである。どう考えたってこんなダメージが躰に与えられるわけ、ないのである。男は躰の動きに続いて、その思考も停止した。
――当然、その隙を帰蝶は見逃さなかった。
投射しつくし、地面に散らばる短剣をすばやくその手に拾いなおして再び男に短剣を投げつけた。そう! ダメージを与えた胸の傷に重ねて当たるように!!連続集中砲火である。放心状態であった男の身体にナイフはあっけなく突き刺さり、再びぶるっ、とナイフが震えると血が、肉が、さらに辺りへと飛び散った。
「あああ! てめェ……、てめェ!! このナイフ……、 細工してエーテル伝導させて……!」
血しぶきが広がると同時に、男の目玉が怪しく光った。
「……チクショウ……、俺に……寄越しやがれ……。核鉄寄越しやがれ……!!」
傷の痛みで男は冷静さをすっかり欠き、帰蝶へとダンプのように突進してきた。だが男は、帰蝶に時間を与えすぎていた。帰蝶のその右手には、はじき飛ばされたレイピアが戻っていたのである。既に男は帰蝶の敵ではなかった。男はメチャクチャに腕を振り回していたが、帰蝶はそれをフットワークも軽くステップを踏み、軽くかわす。
ずちゃ。
気がついたときにはもう、男の躰には章印の点を中心に、レイピアが深々と打ち込まれていた。
「がぁ……、がぁァ……。」
男は喉が焼き切れたような悲鳴で、息をつぐ。それは断末魔の悲鳴と等しかった。
ぶるるんっ……。
そしてもう一度、突き刺さったレイピアが震えたとき、男の躰はびくっ、っと痙攣し、やがて……、すべてが風化していった。
斗貴子は木陰のなかうっすらと差す陽光の中で、その躰を灰と化すホムンクルスの肉体を眺めるだに、L・X・Eの存在はすでに過去のものであるという感慨ひとしおだった。そして帰蝶が音もなくレイピアを鞘に収める所を見るだに、今行われていた戦闘すら、虚ろのものなのかと疑ってしまった。
――――否!
そうして戦闘を終えた帰蝶と、パピヨンは足早に街へ繰り出したのだが、ホムンクルスに足止めをくったため街に着くころにはもはや昼食の時間だった。……それならば、と昼食の時間にやっているホテルのバイキングに入ろうということで、ホテルのイタリアンレストランに入ったのだが……、この二人の食べっぷりを見るだにさきほどの戦闘が虚ろだなどと間違っても言えない様相だった。
「ああ! お前等いくらバイキングだからといって……! もうすこし節度を持ってだなぁ……!!」
斗貴子は呆れ混じりで吼えていた。
「仕方がありませんよ……。先程の戦闘でけっこう体力を消耗してしまいましたからね。食物を摂取して回復させるのがいちばんてっとり早い……、んっ、モグ……。あ、こっちも美味しい……。ぐも……」
「……俺も大分走ってハラが空いたんだ☆ それにここはけっこうアタリだったしな☆ バイキングで節制してもしょうがないだろう?☆」
「そういうことで津村さま。折角ですから貴方もゆっくりお食べになってはいかがです? 今はサイズが小さいから、お得でしょうし……」
「〜〜〜! 余計な御世話だ!!!」
斗貴子は、この風変わりな二人のホムンクルスに自分の命運が握られてるという事象をはっと再確認してしまい、頭がずしんと重たくなった。
「……早く、カズキと剛太の所に戻らねば……。……も、戻れるのか…………」
斗貴子はそう呟くと、肩をがくっと落とすのだった。
【2008/7/5UP★『秘匿の刃』・了】 (初出2006/7/5〜2006/8/17)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
『あとがき』
というわけで改訂版です。そもそもわたしはバトルっぽい少年漫画を描いてたので(でも最初から最後までアクションばりばりの作品ではない。重要なシーンに一箇所戦闘があるくらいかなー。絵が下手だもんで作画がおっつかなかったつうこともあり)初期の武装錬金小説はバトル物が多かったんですねー。今はエロばかりだけど←おい
でもなんだかんだ言っても、書きたかったことは帰蝶の武装錬金の拡張バトルてなカンジで。帰蝶の武装錬金『ライトニング・ニードル』の応用面てなとこですか?
ところでエーテル体のエンチャントができる武器は、それ用に細工した金属じゃないとダメということで! ここの仕込みナイフはバタフライが加工した品です。
ラブホ云々は……、入ったことないのでよくわかりません(笑) パトレイバーのOVAが資料ですよ(笑)(後藤さんと南雲さんがホテル泊まっちゃう話……、って別にあやしいことしに入るわけではないのですが。南雲さんがかわいかった)
あ、そうそうMy設定(つーか他に誰か書く人がいるのか)なんですけど、帰蝶は基本的にカズキたちを名字にさま付けで呼びます。『武藤さま』『津村さま』とかになるのですよ。
うお、つーと未来の帰蝶は名前がばれるとやばいソウヤのことはソウヤさまとか呼ぶのかな! ソウヤが照れまくって火がぼーぼーですよ!(笑)←だからソウヤいじめて喜ぶな
「喰らいやがれェええええ……!!」
男はそして怒号とともに、再生し、より肉厚になったその腕を……、棍棒のように、力任せに、帰蝶に振りおろす。
「がはっ……!」
帰蝶は男の腕のあまりの再生の速さに一瞬判断が鈍り、飛び退くのが遅れた。
みし……っ。
痛々しい音とともに帰蝶の脇腹に打撃が入った。一瞬息ができなくなった。そして帰蝶はみっともなくも地面にころがされる。同時にその手に握っていたレイピアも遠くへはじきとばされてしまった。
「げへっ……! 所詮小間使いが……。てめえみてぇな下っ端が俺に敵うわきゃあねーんだヨ!! ……そうだ!! てめェも核鉄を持ってるんならァ……、そいつを俺に寄越せェえ!!」
男はプレッシャーをかけ迫り来る。今掴まったらさらに深刻なダメージを与えられ、勝機を逸してしまうだろう。脇腹の痛みに耐えつつ、反動をつけ男の迫り来る方向と逆方面に躰を起こし、再び帰蝶はスカートを翻してガーターのナイフを取り出した。帰蝶は今度は右足のガーターに仕込んでいたナイフを、男の頭部に向けて投げつけた。
……が、その行動はやはり男のほうもある程度予想がついていたのだろう。投げたナイフは男の屈強な筋肉のついた両腕で防御された。
「げへへ……、ザンネン! おお……、可哀想になあ!!」
男はげへらげへらと帰蝶を嘲り笑っていた。だが男は腕で頭部を被ったため、その瞬間胸の章印は無防備になった。無論その隙を帰蝶は見逃す訳もなく、章印に向かって最後のナイフが投射された。
だが男も黙ってはいない。先程も見せた躰に見合わない鋭い反射神経で躰をそらし、結局帰蝶のナイフは右胸に突き刺さっただけだった。
「アハハハハハ! やっぱり下っ端の実力なんてこんなもんかよ! 必死の攻撃でちぃちゃなナイフ一本かよ……!!」
男は勝ち誇り、大口開けて笑いだす。
………………ぶうぅん!
だが、そのあと再び鮮血がまきちる。
「…………あ?」
ぶしゅっ、と赤い噴水がまきおこった。
男の胸のナイフの傷口から、血が噴出したのだ。
「……ナンで? こんなちっちぇえナイフで……。」
男は混乱した。長さ15センチほどの小さなナイフが刺さっただけである。どう考えたってこんなダメージが躰に与えられるわけ、ないのである。男は躰の動きに続いて、その思考も停止した。
――当然、その隙を帰蝶は見逃さなかった。
投射しつくし、地面に散らばる短剣をすばやくその手に拾いなおして再び男に短剣を投げつけた。そう! ダメージを与えた胸の傷に重ねて当たるように!!連続集中砲火である。放心状態であった男の身体にナイフはあっけなく突き刺さり、再びぶるっ、とナイフが震えると血が、肉が、さらに辺りへと飛び散った。
「あああ! てめェ……、てめェ!! このナイフ……、 細工してエーテル伝導させて……!」
血しぶきが広がると同時に、男の目玉が怪しく光った。
「……チクショウ……、俺に……寄越しやがれ……。核鉄寄越しやがれ……!!」
傷の痛みで男は冷静さをすっかり欠き、帰蝶へとダンプのように突進してきた。だが男は、帰蝶に時間を与えすぎていた。帰蝶のその右手には、はじき飛ばされたレイピアが戻っていたのである。既に男は帰蝶の敵ではなかった。男はメチャクチャに腕を振り回していたが、帰蝶はそれをフットワークも軽くステップを踏み、軽くかわす。
ずちゃ。
気がついたときにはもう、男の躰には章印の点を中心に、レイピアが深々と打ち込まれていた。
「がぁ……、がぁァ……。」
男は喉が焼き切れたような悲鳴で、息をつぐ。それは断末魔の悲鳴と等しかった。
ぶるるんっ……。
そしてもう一度、突き刺さったレイピアが震えたとき、男の躰はびくっ、っと痙攣し、やがて……、すべてが風化していった。
斗貴子は木陰のなかうっすらと差す陽光の中で、その躰を灰と化すホムンクルスの肉体を眺めるだに、L・X・Eの存在はすでに過去のものであるという感慨ひとしおだった。そして帰蝶が音もなくレイピアを鞘に収める所を見るだに、今行われていた戦闘すら、虚ろのものなのかと疑ってしまった。
――――否!
そうして戦闘を終えた帰蝶と、パピヨンは足早に街へ繰り出したのだが、ホムンクルスに足止めをくったため街に着くころにはもはや昼食の時間だった。……それならば、と昼食の時間にやっているホテルのバイキングに入ろうということで、ホテルのイタリアンレストランに入ったのだが……、この二人の食べっぷりを見るだにさきほどの戦闘が虚ろだなどと間違っても言えない様相だった。
「ああ! お前等いくらバイキングだからといって……! もうすこし節度を持ってだなぁ……!!」
斗貴子は呆れ混じりで吼えていた。
「仕方がありませんよ……。先程の戦闘でけっこう体力を消耗してしまいましたからね。食物を摂取して回復させるのがいちばんてっとり早い……、んっ、モグ……。あ、こっちも美味しい……。ぐも……」
「……俺も大分走ってハラが空いたんだ☆ それにここはけっこうアタリだったしな☆ バイキングで節制してもしょうがないだろう?☆」
「そういうことで津村さま。折角ですから貴方もゆっくりお食べになってはいかがです? 今はサイズが小さいから、お得でしょうし……」
「〜〜〜! 余計な御世話だ!!!」
斗貴子は、この風変わりな二人のホムンクルスに自分の命運が握られてるという事象をはっと再確認してしまい、頭がずしんと重たくなった。
「……早く、カズキと剛太の所に戻らねば……。……も、戻れるのか…………」
斗貴子はそう呟くと、肩をがくっと落とすのだった。
【2008/7/5UP★『秘匿の刃』・了】 (初出2006/7/5〜2006/8/17)
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『あとがき』
というわけで改訂版です。そもそもわたしはバトルっぽい少年漫画を描いてたので(でも最初から最後までアクションばりばりの作品ではない。重要なシーンに一箇所戦闘があるくらいかなー。絵が下手だもんで作画がおっつかなかったつうこともあり)初期の武装錬金小説はバトル物が多かったんですねー。今はエロばかりだけど←おい
でもなんだかんだ言っても、書きたかったことは帰蝶の武装錬金の拡張バトルてなカンジで。帰蝶の武装錬金『ライトニング・ニードル』の応用面てなとこですか?
ところでエーテル体のエンチャントができる武器は、それ用に細工した金属じゃないとダメということで! ここの仕込みナイフはバタフライが加工した品です。
ラブホ云々は……、入ったことないのでよくわかりません(笑) パトレイバーのOVAが資料ですよ(笑)(後藤さんと南雲さんがホテル泊まっちゃう話……、って別にあやしいことしに入るわけではないのですが。南雲さんがかわいかった)
あ、そうそうMy設定(つーか他に誰か書く人がいるのか)なんですけど、帰蝶は基本的にカズキたちを名字にさま付けで呼びます。『武藤さま』『津村さま』とかになるのですよ。
うお、つーと未来の帰蝶は名前がばれるとやばいソウヤのことはソウヤさまとか呼ぶのかな! ソウヤが照れまくって火がぼーぼーですよ!(笑)←だからソウヤいじめて喜ぶな
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
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